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ロマンスとえんだん
ロマンスと縁談
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,722 字 · 28 页
責任を感じさせない熱意で、軽少を期したのである。それを祝意と共に新家庭へ取次ぐ役を僕が仰せつかった。
宮下君のところへは二三回行ったことがある。打ち合せて置いて、日曜の朝早く荻窪へ向った。宮下君は貧乏を吹聴するけれど、相当の家に住んでいる。仲人の佐藤氏が頭の中にあったから、僕は先ず隣りの家の前に歩を止めた。虎の巻で建てた家だという興味も手伝った。流石に立派だと思った。標札が古びていてハッキリ読めない。門へ進み寄ってよく見たら、
「やあ!」
と驚いた。佐藤量順とある。郷里の中学校で英語を習った先生と同姓同名だ。長く英語の教師をした人だと聞いていたから、あの量順先生に相違ないと結論した。その瞬間、門が開いて妙齢の佳人が現れた。標札を見上げていたので、来訪者と思ったのか、淑かに会釈をするのだった。二重に慌てた僕は、
「失礼しました」
と言って、逃げるように急いで宮下君の門をくゞった。もう来そうなものだと思って、宮下君は戸に手をかけたところだったそうだ。僕は宮下君に突き当った。
新婦に紹介されて、使命を果す早々、僕は心のトップにあることに触れざるを得なかった。