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ロマンスとえんだん

ロマンスと縁談

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,722 字 · 28 页

青空文庫

ロマンス結婚以上のロマンスが展開しているんだ」

「変なところから議論を持って来たんだね」

「釣堀で満足することだよ。大海へ出るなんて言っても、容易なことじゃない。漁師だって釣れない日がある。それを片手間でやろうってのは無謀だよ。先ず釣堀へ行くのさ。註文通りの魚が釣れる。釣って置けば、ロマンスが必ず生れて来る。天の配剤は実にうまく出来ている」

と宮下君は啓蒙の積りで、大いに説くところがあった。

「おい。橘高君、養鰻だの釣堀だのって、一体君達は何の話をしているんだ?」

と背中合せの同僚が割り込んだ。

「ハッハヽヽ」

「何だい? 釣魚なら僕も好きだ」

「いや、宮下君は婚約が定って、無暗に気が荒くなっているんだよ」

と言って、僕は応援を求めた。一人で引受けていてはやり切れない。

宮下君は婚約期間の交際を充分に楽しんで、九月に式を挙げた。やらないと言っていた新婚旅行をやって、一週間休んだ。但しこれは年に一週間貰える休暇を利用したのだから、持ち出しにならなかった。披露はやらない。事後報告で簡単に済ませた。

しかし親しい同僚は黙っていられなかった。有志十数名が醵金して、ナイフやフォークのセットを求めた。