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ロマンスとえんだん

ロマンスと縁談

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,722 字 · 28 页

青空文庫

と誘った。同僚は何かというと屋上を利用する。議論をした後、さあ、屋上へ来いと言った奴がある。

「何だい?」

「話が始まったんだよ」

「ふうむ。イヨ/\来たな」

「隣りの佐藤という人が持って来たんだ。断るばかりが能じゃないから、一つ考えて見ろと父も母も言うんだ。佐藤氏は長く英語の先生をした人で、今は進駐軍の通訳を勤めている。ずっと以前に虎の巻を出して、それが当って家を建てたんだ。年来隣り同志だから、僕のところとは別懇の間柄だ」

宮下君は仲人の履歴から説き起した。

「見合をするのか?」

「うむ。写真が気に入ったから、兎に角会って見ようと思う。見せようか?」

「何だ? 持っているのか?」

「肌身離さずって訳でもないが、君に鑑定して貰おうと思って持って来た」

宮下君はチョッキの下から大きな台紙の写真を手繰り出して突きつけた。僕は仔細に検めて、

「ナカ/\好いじゃないか?」

「好いかい?」

「これなら好いよ。美人だ」

「美人とまでは行かなくても、相当のところだと思う」

「相当以上だよ。学校は何処を出たんだい?」

「旧制の女学校と洋裁学校さ」

「年は?」

「二十二だ」

「丁度好いじゃないか?」