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ロマンスとえんだん

ロマンスと縁談

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,722 字 · 28 页

青空文庫

しかしそんなものを買ってくれなんて言われると大変だから、音楽は敬遠して文学を語った。小説は嫌いで哲学がかった論文が好きだと言うんだ。凄いよ。英語は相当出来るらしい。鑵詰のレッテルぐらい読めますよと言って笑っていたが、お父さんが矢っ張り英語の先生だから、うっかりすると、此方より上かも知れない。話の中に英語を入れるんだ。それが一々適切だから感心してしまった」

「結局気に入ったんだね」

と僕はもう好い加減にして貰いたくなった。雨がポツ/\降っていたのである。

「即決さ。先方も支度の都合があるだろうから、婚約期間を三月として、秋に式を挙げることに定めた」

「猛烈に捗ったんだね。見合ってのは一遍にそんなことまで定めてしまうものかね?」

「いや、そのまゝ別れて、決定は後日仲人から通告するのが本式だけれど、そんなことをしていると取り逃がす心配がある。現に僕の従兄はその手を食っている。先方の令嬢は見合をした翌日又別口の見合をして、その方が気に入ったものだから、スパリと断って来たそうだ」

「ふうむ」

「今の世の中は若い女性まで思想が険悪になっている。パーマネントをかけて美容術を施した序に、二つも三つも見合をして、その中から選抜するのがあるらしい」