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せんきゅうひゃくさんじゅうにねんのはる

一九三二年の春

宮本 百合子

「改造」(はじめの約15枚分)1932(昭和7)年8月号、「プロレタリア文学」(残りを追加して再掲)1933(昭和8)年1~2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,942 字 · 44 页

青空文庫

と笑った。

サークルの女工さん達は七八人だが職場の都合で夜七時頃にしか集れないという話であった。寄宿にいる人は門限が九時までで、僅かしかおれないから残念がっているそうだ。大体下諏訪の製糸工場は大きいのが少く、女工さんも県内の出身が多く、通勤も相当あるので、文学サークルなども作れる。しかし文学サークルなどを企業の内部へ――工場寄宿舎の内へどんどん拡大してゆくことは相当困難である。どうしても、文学新聞や「働く婦人」を中心として、進歩的な生活気分をもっている女工さんは、工場の外で集り、企業のそとでサークルを持つ傾向がある。しかし、○○製糸工場を中心とする下諏訪のサークルに属する女工さんたちは活溌で、この前の作家同盟講演会の後、主催者であった青年団と町役場との間に問題が起った。作家同盟の誰だったかの話が、帝国主義侵略戦争反対にふれて中止をくい、一時講演者が検束された。それを口実に、町会の反動分子が自主的青年団に抗議を申込み、以来ああいう不埒な講演会をすることはならん、役員は引責辞職しろ、さもなければ年二百円の補助費を廃止する、とねじ込まれ、男子青年団の方は、まけて辞職し、反動にヘゲモニーをとられてしまった。