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いっすんぼうし

一寸法師

江戸川 乱歩

「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页

青空文庫

「その通りです。どうして分りました」

紋三は明智の名察にめんくらって、夫人のためにその内を秘密にして置くつもりのを、つい忘れてしまって叫んだ。

「やっぱりそうだったか。じゃ序だからすっかり話しをするがね。その前に、見せるものがあるんだ」

明智は手文庫の中から、細長く破れた幾つかの紙切れを取だし、丁寧に皺をのばして、卓上に並べ、順序をそろえて継ぎ合せた。

明智は妙な紙切を継ぎ合せてしまうと、それを卓の隅におしやって置いて、手文庫の中から次々と色々な品物を取出した。例のピアノのスプリングに引懸っていた黒い金属の束髪針、三千子の鏡台から持って来た沢山の化粧品類、三千子の机の上にあった指紋つきの吸取紙、えたいの知れない石膏のかけら、網の様な春のショール、小型の婦人持手提、一枚の写真、三通の封書、それだけの品々をまるで夜店の骨董屋の様に、ズラリと卓上に置き並べた。外にまだ、手文庫の底には穿きふるしたフェルトぞうりが一足残っていた。

小林紋三はこの驚くべき光景を見て、あっけにとられてしまった。その品々は凡て今度の事件の証拠品に相違ないのだが、いつの間に明智がこれだけのものを集めたか、一々説明を聞かないでも、その物々しい様子を見ただけで、ついさっきまで明智に対して抱いていた、多少の軽蔑の念が、あとかたもなくなってしまっ