轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
そこの隅々に置かれた共同ベンチには、いつものように浮浪人らが寝支度をしていた。ベンチの側にはどれもこれもおびただしいバナナの皮が踏み躙られていた。浮浪人達の夕食なのだ。中には二三人で附近の料理屋から貰って来た残飯を分け合っているのもあった。高い常夜燈がそれらの光景を青白く映し出していた。
彼がそこを通り抜けようとして二三歩進んだ時、傍の闇の中にもののうごめく気勢を感じた。見ると暗いためによくはわからぬけれど、何かしら普通でない非常に変挺な感じのものがそこに佇んでいた。
紋三は一瞬間不思議な気持がした。頭がどうかしたのではないかと思った。だが、目が闇に慣れるに従って、段々相手の正体が分って来た。そこにたたずんでいたのは、可哀相な一寸法師だった。
十歳位の子供の胴体の上に、借物の様な立派やかな大人の顔がのっかっていた。それが生人形の様にすまし込んで彼を見返しているのが、甚だしく滑稽にも奇怪にも感じられた。彼はそんなにジロジロ眺めては悪い様な気がした。それにいくらか怖くもあったので、何気なく歩き出した。振返って見るのも憚られた。
それから彼は、いつもの様に、広っぱから広っぱへと歩き廻った。