轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
藤棚を天井にしたコンクリートの小橋が薄白く見えていた。
「大将、大将」
気がつくと右の方の闇の中から誰かが彼を呼びかけていた。妙に押し殺したような声だった。
「ナニ」
紋三はホールド・アップにでも出っ会したほど大袈裟に驚いて思わず身構えをした。
「大将、ちょっとちょっと、他人にいっちゃあいけませんよ、極く内ですよ、これです、素敵に面白いのです、五十銭奮発して下さい」
縞の着物に鳥打帽の三十恰好の男がニヤニヤしながら寄り添って来た。
「ソレ、何です」
「エヘヘヘ……御存知の癖に。決してゴマカしものじゃあありませんよ、そらね」
男はキョロキョロと四辺を見廻してから、一枚の紙片を遠くの常夜燈に透して見せた。
「じゃあ貰いましょう」
紋三はそんなものを欲しいわけではなかったけれど、フと物好きな出来心から五十銭銀貨とその紙片とを交換した、そしてまた歩き出した。
「今夜は幸先がいいぞ」
臆病な癖に冒険好きな彼の心はそんなことを考えていた。
もうヘベレケに酔っ払った吉原帰りのお店者らしい四五人連が、肩を組んで調子外れの都々逸を怒鳴りながら通り過ぎた。
紋三は共同便所のところから右に切れて広っ場の方へ入って行った。