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さんにんのひゃくしょう
三人の百姓
秋田 雨雀
「婦人公論」1920(大正9)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,876 字 · 12 页
「伊作の拾うんだもの、碌なものでなかべいになあ!」
と太郎右衛門は附け足して、多助と一緒に少し急いで坂を下りて行きました。
坂の下の方では、伊作はさも、もどかしそうに、二人の下りて来るのを待っていました。
「騙されたと思って、急ぐべし!」
と多助は、炭俵をがさがささせて、走って行きました。太郎右衛門は、根がはしっこくない男でしたから、多助に遅れて、一人で坂を下りて行きました。太郎右衛門が伊作のいたところへ着いた時には、伊作と多助は大事そうにして、何か持ち上げて見たり触って見たりしていました。
「何あ、落てるんだてよ?」
と太郎右衛門は間抜な顔をして、二人の立っている間へ顔を突込んでやりました。
「見ろ、こうしたものあ、落ってるんだてば。」
と伊作は、少し身体を退けて、太郎右衛門にも見せました。
「ははあ! これあ、奇体な話でねいか!」
と太郎右衛門は叫びました。今三人の前に生れてから三月ばかり経った一人の赤児が、美しい布に包まれて捨てられているのでした。伊作の話では、伊作の最初に見付けた時は、赤児はよく眠っていたということでした。
「一体何処の子供だべいな? いい顔つきっこをしてるのにな!」