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さんぱくざっき
三八九雑記
種田 山頭火
「「三八九」第六集」1933(昭和8)年2月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,057 字 · 5 页
なんとなく春めいてきた、土鼠がもりあげた土くれにも春を感じる。
水のいろも春めいたいもりいつぴき
私もこのごろはあまりくよくよしないようになった。それはアキラメでもなければナゲヤリでもない、むろんサトリでもない、いわば、老のオチツキでもあろうか。
近眼と遠眼とがこんがらがってきたように、或は悠然として、或は茫然として、山を空を土を眺めることができるようになった。放心! 凝心もよいが放心もわるくないと思う。
おかげで、この冬はこだわりなく生きてきた。春になったら春風が吹くでしょう。
終日尋春不見春 杖藜踏破幾重雲
帰来拭把梅花看 春在枝頭已十分
その梅はもう盛りをすぎたけれど、あちらこちらにしろじろと立っている。裏畑の三本、前の家の二本、いずれも老木、満開のころは、一人で観るのにもったいないほどであった。
道べりの二三本、これは若木だが、すこし行くと、ここにも一本、そこにも一本というぐあいで、なかなかのながめであった。こんなところもあったのかと驚くぐらい、花をつけてはじめて、その存在をはっきりさせている。
咲いてここにも梅の木があつた
ここ矢足は椿の里とよばずにはいられないほど藪椿が多い(前のF家の生垣はすべて椿である)。