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さんぱくざっき

三八九雑記

種田 山頭火

「「三八九」第六集」1933(昭和8)年2月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,057 字 · 5 页

青空文庫

ぶらぶら歩いていると、ぽとりぽとり、いつ咲いたのか、頭上ゆたかに、素朴な情熱の花がかがやいている。

水音の藪椿もう落ちてゐる

水仙がおくれてやたらに咲きだした。先住者が好きだったのだろう、畑のあちこちにかたまりあって、清純たぐいなき色香を見せている。そんなわけで、仏壇も水仙、床の間も水仙、机の上も水仙です(この花にはさびしいおもいでがあるが、ここには書くまい)。

水仙こちらむいてみんなひらいた

大根と新菊とはおしまいになった。ほうれんそうがだんだんとよくなった。こやし――それも自給自足――をうんと与えたためだろう。ちさはあいかわらず元気百パア、私も食気百パアというところ。

畑地はずいぶん広い、とても全部へは手が届かないし、またそうする必要もない、その三分の二は雑草に委任、いや失地回復させてある。

よう燃える火で私ひとりで

大きな雪がふりだして一人

いたづらに寒うしてよごれた手

もう暮れたか火でも焚かうか

いちにち花がこぼれてひとり

雪あしたあるだけの米を粥にしてをく

ひとりの火の燃えさかりゆくを

これらの句は、日記に記しただけで、たいがい捨てたのですが、わざとここに発表して、そしてこの発表を契機として、私はいわゆる孤独趣味、独りよがり、貧乏臭、等、を清算する、これも身心整理の一端です。