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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
「えっ、今なんといったんですか」
正吉はあわててたずねた。カンノ博士は、いよいよニヤニヤ笑顔になって正吉を見ていたが、やがて口を開いた。
「じつはね、私たちはこんど、かなり遠い宇宙旅行に出かけることになった。お月さまよりも、もっと遠くなんだ。早くいってしまえば火星を追いかけるのだ。そのような探検隊が、一週間あとに出発することになっているが、君を連れていってやっていい」
「うれしいなあ。ぜひ連れてって下さい」
「しかし前もってことわっておくが、さびしくなったり、辛抱が出来なくなって、地球へぼくを返して下さい、なんていってもだめだよ」
「そんなこと、誰がいうもんですか」
正吉は、胸を張ってみせた。
「大丈夫かい。それから火星を追いかけているうちに、火星人のためにわれわれは危害を加えられるかもしれない。悪くすればわれわれは宇宙を墓場として、永い眠りにつかなければならないかもしれない。つまり、火星人のため殺されて死ぬかもしれないんだが、これはいやだろう。見あわすかい」
「いや、行きます。どうしても連れてって下さい。たとえそのときは死んで冷たい死骸になっても、あとから救助隊がロケットか何かに乗って来てくれ、ぼくたちを生きかえらせてくれますよ。