轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さんねんめ
三年目
山本 周五郎
「雄弁」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,214 字 · 22 页
「おらあ云ったはずだ、たとえどんなことがあっても、お菊さんは大切に預かっているって、……兄哥、おらあ人間が鈍だからへまをやらねえたぁ云わねえ、けれども兄哥とした約束だけは守ってきたぜ」
「そんならお菊となぜ夫婦になった、信りもしねえでなぜ家を引越した、お菊に丸髷を結わせて、なぜおいらを世間の嗤い者にしたんだ」
「そりゃみんな堀の若棟梁のためなんだ」
「なんだ、堀の仁太郎がどうしたと」
「若棟梁がお菊さんを妾にしようとしたんだ、兄哥は立ったあとで知らなかろうが、亡くなった親方は堀に借金があった、その金を枷にどうでもお菊さんを妾に出せと云うんだ」
友吉は殴りつけられたように思った。
「兄哥が帰って来て、広田屋を盛返すためには堀一家と喧嘩はできねえ、しようがねえからお菊さんと相談のうえ、二人が夫婦になったと見せることにしたんだ、おらあ鈍だからそれより他には智恵がなかった、兄哥さえ帰ってくりゃあどうにかなる、そう思ってしたんだ。……引越したのを知らせなかったのも、おめえに心配をかけたくねえからだ、おいらもお菊さんも、蔭膳を据えて待っていたんだぜ」
友吉は低く呻きながら起上った。