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ふしょうのあに

不肖の兄

豊島 与志雄

「改造」1925(大正14)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,889 字 · 39 页

青空文庫

」

「だから、一寸、すこうし……変に頭が痛くって……本当ですよ。」

そんなことが信じられるものですか、というような母の顔付だったが、それでも機嫌はさほど悪そうでもなかった。うまくいった、と僕は思った。

ところが、朝食の膳に向って、一人でちびちび、苦い味を我慢して飲み初めると、母は飯櫃の横に控えて、じっと僕の方を見守ってきた。

「お前は一体、どういう気なんです。浜地さんと敏子との話に、賛成だなんて云っておきながら、昨晩はあんなに浜地さんのことを……それも、お前のお友達じゃありませんか。まるで酔払いの悪体みたいに……。そして今日はまた、お午近くまでも寝ていて、やっと起き上ったかと思えば、またお酒……。家は茶屋小屋じゃありませんよ。それとも、酒の上でなければ云えないような、何か不満なことがあるなら、はっきり云ってごらんなさい。浜地さんのことについて、何か腑に落ちないことがあったら……。今のうちなら、どうにでもなるんですから……。そりゃあ浜地さんのことはお前が一番よく知ってるのだから、はっきり理由の立つことなら、わたし達も無理に話を進めようとするのではありませんよ。