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せかいかいきじつわ「じょぶん」

世界怪奇実話

牧 逸馬

牧逸馬『世界怪奇実話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「世界怪奇実話」序文、ウンベルト夫人の財産、都会の類人猿、肉屋に化けた人鬼、生きている戦死者、運命のSOS、斧を持った夫人の像、海妖、カラブウ内親王殿下、双面獣、モンルアルの狼、消えた花婿、土から手が、ロウモン街の自殺ホテル。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,305 字 · 498 页

青空文庫

怪力乱神を語らずというが、紳士達の間には、婦人連を怖がらせる興味も、幾らかあったのだろう。後でデニュウ博士は、現場に近い独逸領ドュッセルドルフ市の聯合通信特置員にインタヴィウされて、斯う言っている。

「今から思うと全く不必要な、そして不気味な雑談でした。話材そのものが不気味であった許りでなく、何故あの晩に限ってあんな古い事件にあんな新しい興味を感じて話し合ったか、それが実に不気味なのです。私達はまるで何か私たちの上に拡がっている大きな手によって操られでもするように、そうです、憑き物でもしたように、熱心な額を集めて話し込みました。海の不思議――あのメリイ・セレスト号事件に関して語り合ったのです。The Mary Celeste ! 何という永久に呪われた名でしょう」

その夜このメリイ・セレスト号事件を主題に話しが弾んだことは、デニュウ博士だけでなく、エドワルド氏を始め、キュヴァリエ少将もモッファ氏も洋服屋さんのポウル・フェラル氏も夫人達も、巴里警視庁の取調べに対して、異口同音に証言している。ここが、この「ジャネットの悲劇」に言い知れない怪異の色を塗る大事な点なのだが、問題のメリイ・セレスト号事件というのは、一八七二年の出来事である。