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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧逸馬『世界怪奇実話』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「世界怪奇実話」序文、ウンベルト夫人の財産、都会の類人猿、肉屋に化けた人鬼、生きている戦死者、運命のSOS、斧を持った夫人の像、海妖、カラブウ内親王殿下、双面獣、モンルアルの狼、消えた花婿、土から手が、ロウモン街の自殺ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,305 字 · 498 页
「去る十二月五日、ノヴァ・スコチアの帆船デ・グラシア号は、北緯三八・二〇、西経一七・一五、アゾウレス群島附近の大西洋上に於て、無人の米国大型帆船メリイ・セレスト号を発見し――」
と前述のデ・グラシア号船長ボイス等の実見談を記載して、その中で、この血の附いた長剣のことに言及している。スペクテイタア誌は、この記事は十二月十二日附のジブラルタルの新聞 The Gibraltar Chronicle から借用したものだと本文の終りにも言明しているのだが、其の原文のジブラルタル・クロニクル紙の記事には、血の附いた長剣のことなど出ていないのである。スペクテイタアの記者が、海洋小説でも書いている気になって鳥渡創作を混えたのだろう。
ジブラルタルが最も近いので、デ・グラシア号は、メリイ・セレスト号に三人の船員を分乗させて、曳船してジブラルタルへ入港した。直ちに米国領事館へ急報する一方、法規に従って、海事局に船体救助の賞与金下附方を申請した。海事局が、難破船として一応メリイ・セレスト号を海事裁判所へ廻している間に、米国領事は紐育へ照会電報を発して、間もなく判明したところに依ると、The Mary Celeste はノヴァ・スコチアの建造で六百六噸と合衆国船舶簿に登録されていて、所有者は紐育のウインチェスタア会社、同年九月