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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
在线阅读風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 页
などは、うららかな春昼、満開の桜の枝と大納言(若い皇后定子の兄君伊周公である)との配合の美しさである。
秋は夕ぐれ、夕日はなやかに射して、山の端いと近くなりたるに、烏の寝所へゆくとて三つ四つ二つなどとびゆくさへあはれなり。(一段)
にしても、
日は入日、入りはてぬる山際に光のなほとまりてあかう見ゆるに、薄黄ばみたる雲のたなびきたる、いとあはれなり。(二〇五段)
にしても、入日の美しい場合をはっきりと捕えている。こうした絵画的な美しさがどうして生れたかは第二として、これがひたむきな感動の表白などでなく、鋭い感力でしずかに細かく対象を感受しているものだということは分ろう。そしてその美しさは詠嘆調の美しさではなく、感性的な美しさであることもたしかである。こうした美しさは、近代でいえば木下利玄の歌に見えた視覚的な美しさであった。根源には視覚によっているけれども、冷徹な智的判断の是非とも要り用なものなのである。そして『枕草紙』で成功した、こうした美しさを、和歌が採り入れはじめたのである。
山ざくら花の下風吹きにけり木の下ごとの雪のむらぎえ (康資王母)
山深み杉の群ら立ち見えぬまで尾の上の風に花の散るかな (経信)