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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页

青空文庫

東君も他の人たちも、皆冬山の猛者で、低温室内の生活にも、もう十分馴れている。

題目もプランも申し分なく、隊員もまずこれ以上適当な人間は、アメリカなどでは探せないであろう。折り返し手紙がきて、非常に興味深い研究であるから、何とか考慮しようと、色よい返事であった。

それで勇気をえて、アラスカ・パルプ会社の方へ頼みに行ったそうである。虫のよい話で、氷を運んでもらうばかりでなく、八人の隊員を、食費だけで、往復便乗させてもらいたいと頼みこんだ。無茶な話のようであるが、それには理由がなくもない。

北極研究所は、民間の研究所であって、会員の会費と、有志の寄付と、委託研究費とで、経営している。けっして金持の研究所ではない。それにアラスカの氷を日本へ持ってきて研究するのに、アメリカから金を出さすことは、考えてみれば、少しおかしい。「科学に国境はない」というのが、唯一の論拠であるが、吹っかけるのは、どうも少し気が引ける。それでアラスカ滞在中の経費三千ドルだけを、依頼することにした。従来の例から見て、北極研究所が、出し得る金額は、この程度のものである。

そうすると、どうしても、船賃の方は、アラスカ・パルプに頼むより仕方がない。