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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页

青空文庫

ヤクートやツングースは、厳寒の時期になると、大きい動物が地中を動き廻ると信じているそうである。それがこの永久凍土地帯から時折発掘されるマンモスと結びついたのであって、マンモスのロシア語源は「土の動物」という意味であるということである。ブフィツェンマイエルのマンモス発掘記の抄訳『マンモスを求めて』には、古代の支那人がマンモスを土竜科の一種の地中に棲む動物と考え、陽の目を見ればたちどころに死んでしまうと信じていたことが書かれている。厳寒のシベリアの広野をさまよい歩いているこれらの原始狩猟人の眼には、マンモスが所々新しく土地を盛り上らせながら、地中を歩いている姿が見え、それが川岸などで思わず表面に出ると、屍体となって現われる「事実」を知っていたのである。

少くも一万年以上永久凍土層の中に、そのままの姿で埋れていたマンモスの屍体が、人間の眼に止るのは、多くの場合洪水などで流し出された時である。コサックによるシベリア占領以来、ロシアの科学院は賞金をかけて、発見の情報を得ようとした。しかしマンモスに対して強い迷信的恐怖心を抱いている住民たちからは、敬遠される場合が多かった。