轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
板敷きに手枕して鼻唄まじり、あれほど獄吏をてこずらせていると聞いた無宿者が、いま見れば閉房の中央に粛然と端坐して、何やら深い瞑想にふけっているようす。
室のまんなかに座を占めたところに、行住座臥をもいやしくしない、普通ならぬ武道のたしなみが読まれた。
しかも! 土器の油皿、一本燈心の明りに照らしだされた蒼白い額に観相に長じている忠相は、非凡の気魂、煥発の才、雲のごとくただようものをみたのである。
これは、一人傑。
ととっさに見きわめて、畳のうえに呼び入れて差し向かい、一問一答のあいだに掬すべき興趣滋味こんこんとして泉のよう――とうとう夜があけてしまった。そして、朝日の光は、そこに職分を忘れた奉行と、心底を割った囚人とがともに全裸の人間として男と男の友愛、畏敬、信頼に一つにとけ合っているのを見いだしたのだった。
このお方はじつは千代田の密偵、将軍おじきのお庭番として名を秘し命を包んでひそかに大藩の内幕を探り歩いておらるるのだから、万事そのつもりで見て見ぬふりをするように……というような苦しい耳うちで下役の前を弥縫した忠相も、自分に先んじて風来坊泰軒を高くふんだ茶碗屋おつるの無識の眼力にはすくなからず心憎く感じたのだろう。