轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
あたしゃ決してためにならないことは言わないよ。栄三郎さんのほうだって、殿様にお願いして丹下さまのお腰の物を渡してやったら、文句なしに手を切るだろうと思うんだがねえ」
お艶は、行燈のかげに身をちぢめる。
「まあ! お母さんたら、情けない! 今になってそんな人非人のことが――」
「だからさ、だから何も早急におきめとは言ってやしないじゃないか。ま、とにかくちょっとお化粧をしてお酒の席へだけは出ておくれよ。ね! 笑って、後生だからにこにこして……! さっきからお艶はまだかってきつい御催促なんだよ。さ、いい年齢をしてなんだえ、そんなにお母さんに世話をやかせるもんじゃないよ。あいだに立ってわたしが困るばかりじゃないか――はいただいま参ります! ねえ、さ、髪をなおしてあげるから」
「いやですったら嫌ですッ!」
とお艶が必死に母の手を払った時、障子のそとに静かな衣ずれの音がとまった。
「今晩は……」
「こんばんは……おさよさんはいますか」障子のむこうに忍ぶ低声がしたかと思うと、そっと外部からあけたのを見て、おさよははっと呼吸をつめた。
濃いみどりいろの顔面、相貌夜叉のごとき櫛まきお藤が、左膳の笞の痕をむらさきの斑点に見せて、変化のようににっこり笑って立っているのだ。