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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
左膳の身になれば、これほどの手違いはまたとあるまい。だが、それと、そうして、左膳の文によって栄三郎がいかに考え、まさに左膳の言い分を真実ととりはしなかったろうが、今後の処置をどう決したか? ということはしばらく天機のうちに存するとして。
また、栄三郎が左膳の手紙を取り落として、それが、人もあろうに、越前守忠相に拾われて今その手にあることもここに問わず……。
ただ、お藤である。
彼女は、与吉の口から、乾雲丸が左膳のもとにないと聞くや、ただちにそのからくりを見破って、与の公までが左膳に肩を入れるのがくやしくてならなかった。
恋しい左膳さま――それはいまも変りがないが、容れられてこそ恋は恋。
あのように嫌いぬかれて、なおもこころ私かに男を思うなどということは、お藤の性でも、またそんなしおらしい年齢でもなく、頭からできない芸当であった。
ばかりでなく。
じぶんを見向きもしないで、かの弥生にのみ走っている左膳の心を思うと、責め折檻された覚えもあり、なんとかして一矢左膳に報いる機会を待っていたお藤だった。
手に入らぬものなら壊してしまえ!
どうせ他人なら遠慮はいらぬ! あくまでも左膳を呪って、いっそあの人の何もかもをめちゃくちゃにしてやれ!