轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
かれとしては未曾有のことには、さっきこうして真っぴるまひょいと裏門からはいって来たのだが、いかなる妖術を心得ているものか、誰ひとり家人にも見とがめられずに、植えこみづたいに奥へ踏みこんで、突如この茶室のそとに立ったのだった。
あいも変わらぬ天下御免の乞食姿、六尺近い体躯に貧乏徳利をぶらさげて、大髻を藁で束ねたいでたちのまま。
おりからひとり茶室にこもって心しずかに湯の音を聞いていた越前守、ぬっと障子に映る人影に驚いて立っていくと、
「わっはっは、当屋敷の者はすべて眠り猫同然じゃな。このとおり大手をふってまかり通るにとめだていたすものもない。おかげで奉行のおぬしに難なく見参がかなうとは、近ごろもって恐縮のいたり――いや、憎まれ口はさておき、ひさしぶりだったなあ」
という無遠慮な泰軒の声。
「おう! よく来た!」
と笑顔で迎えながら泰軒のうしろを見た忠相、ちと迷惑な気がしてちらと眉をひそめたのだった。泰軒はひとりではなかった。
そのかげに肩をすぼめてうなだれた若い女……それは今もこの茶室の縁口まえに小さく身を隠して平伏している。
言わずもがな、瓦町の家を抜けて来たお艶であった。