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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

01 乾雲坤竜の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页

青空文庫

偏執果断の大主大膳亮、吃々としてこういっただけである。

「ヒ、人殺しの好きな者を、さ、さ、三十人ほどつれて江戸へくだってはくれぬかの? 仔細はいけばわかる。ア、あの、タッ、たたたッ丹下、舟下左膳の助太刀じゃ。余から頼む、おもてだって城内のものをやられん筋じゃ。で、ココ、ここは、ど、どうしても軍之助、ソ、そちの出幕じゃ。シ、真剣の場を踏んだ、ク、クッ屈強な奴ばらをそちの眼で選んでナ、迎えが来ておるで、その者とともに三十名、夜あけを待って早々江戸へ向かってもらいたいのじゃ。よいか、しかと承引したな」

「殺剣衆にすぐれし者のみを三十名。はア。心得ましてござりまする、何かは存じませねど、かの丹下殿とはわたくしも別懇のあいだがら……殿のおことばがなくとも、必要とあらばいつにても助勢を繰り出すべきところ――しかも、お眼にとまってわたくしどもへ御芳声をいただき、軍之助一門、身にあまる栄誉に存じまする」

「うむ。デ、では、ヒ、ひきとって早く手配をいたすがよい」

「ははッ! わたくしはもとより門弟中よりも荒剣の者をすぐりまして、かならず御意に添い奉る考え、殿、御休神めされますよう……」