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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
やにわに腕をさしのばしたと見るや、一同があっけに取られているうちにパタパタと初めから順繰り……名札を裏返しに掛けなおして、約七分の一の小松数馬のところで手をとめた。
二百の名札のうち、はじめのほうはうらの木肌を黄白く見せている。
その、裏がえしにされた札の数を読むと、各務房之丞から小松数馬までちょうど三十――。
破門でもされるのでなければ、道場の名札を裏返しに掛けられるおぼえはない!
と、高弟の三十名をはじめ満場の剣客が鳴りをしずめていると。
軍之助、突如わめくようにいい渡した。
「これらの者三十人。今日かぎり破門を申しつける!」
意外のことばに騒然とざわめきたった頭のうえに、より意表外の軍之助の声が、もう一度りんとしてひびいたのだった。
「いや! 待て、待て! わしもみずからを破門するのじゃ!」
卯の刻。
あけ六つの太鼓が陽に流れて、ドゥン! ドーン! と中村城の樹間に反響しているとき。
異様な風体の武士たちが三々伍々のがれるがごとく人目をはばかって町を離れ、西南一の宿の加島をさして、霜にしめった道をいそいでいた。
そろいもそろって筋骨たくましい青壮の侍のみ。