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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

01 乾雲坤竜の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页

青空文庫

と見るより、とっさの驚愕から立ちなおった左膳と月輪の勢、ピタリ! 踏みとどまると同時に、もういっせいに皎剣の鞘を払って、月の斑がうろこのように鍛鉄の所々に光った。

おのずから半月の陣!

その背後から、しわがれた左膳の声が物の怪のごとく走った。

「オオ坤竜か。これから参ろうとしているところへ、そちらから出かけて来るたアいよいよ運の尽きたしるしかナ。いかさま汝のいうとおりまだ短夜じゃアねえ……では、一晩こころおきなく斬りむすぶとしようか」

いいながら左膳、隻腕の袖をグイと脱ぐと、例の女物の下着が月を受けて浮きたつ。

不敵なほほえみが、その、刀痕の眼だつ顔をいびつに見せていた。

風雲急!

栄三郎は沈黙。

ただ、霜がこいの藁で法勝寺三郎の血を拭き終った武蔵太郎を、かれはしずかに正面に持しただけである――神変夢想の平青眼。

と!

タ! タ! と二、三あし、履物を棄てて草を踏みつつ、栄三郎の前へ進み出た長剣の士、月輪の道場にあって三位を保つ轟玄八だ。

玄八。平潟船番士で、その剣筋、幅もあれば奥ゆきもゆたかに、年配は四十に手のとどく円熟練達の盛年。

ガッシリした体躯に心もち肩をおとして、濡れ手拭を絞るようにやんわりと柄をささえ、