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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
「ええ。そうでございます。殿様だってお艶さんのいどころは気になっておいででしょう?」
「ウム。そりゃアまあそういったようなものだが――」
「だから、でございますよ、弥生さんの所在ととりかえっこに、ひとつ丹下様に働かせてみちゃアどうでございます?」
「ハハハ、罪だな、しかし」
「なに、罪なことがあるもんですか。そうして殿様はお艶さんを捜し出させ、左膳さまには青山の家をしらせてやってそこへあの人が飛びこんでゆけば、ね! ホホホホ飛んで火に入るなんとやら、あとはあたしの思う壺でございますよ」
「いやどうもお藤、貴様はなかなかの策士だな。かなわん。では、そういうことにしてやってみようか」
「ぜひ殿様、そうしてごらんなさいましよ……ときに、おさよさんは?」
「なに、さよか。ア、ちょっとそこらへ買い物にでも参ったのであろう」
と、軽くごまかした源十郎、善はいそげとばかりにさっそく左膳へぶつかってみるつもりで、ソッとお藤を帰し、そのまま離庵のほうへ庭を横ぎってゆくと、
「イヨウ! 源的、そこにいたのか。話があって参った」
むこうから左膳の声。
いいところで――と、思わずふたりがニッコリする。