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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

01 乾雲坤竜の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页

青空文庫

すると、果たして二刀ところを一にしているのを見は見たものの、豆太郎という邪魔者を退けているうちに、弥生ともどもどこへか消えてしまったのだ。

「なあに、どうせまだこの辺にうろついてるに違えねえ……」

ガサガサと草を分けて歩き出した左膳の眼に、森の下を急いでゆく弥生と、彼女が小脇にかかえている陣太刀の両刀とが、チラリとうつった。

走り出す左膳。

弥生も、ちょっとふり向いたまま、懸命に駈けてゆく。

追いつ追われつ、二人は森を出はずれたのだった。

雲竜二刀を確と抱きしめて子恋の森を走り出た弥生、ゆくてを見ると、四つの駕籠がおりているので、さては得印門下の四人が、何かの用で森の家へ帰って来たのか、やれ助かった! となおも足を早めて近づくと、

「おうい! そこへ行ったぞウッ!」

といううしろからの左膳の声に応じて、バラバラバラッと駕籠を出たのを眺めると、

一難去って二難三難!

月輪の援隊、三十一人が三人に減ったその残剣一同、首領月輪軍之助、各務房之丞、山東平七郎……これが左膳とともに駕籠を駆って来ていた。その網のまん中へ、われから飛びこんだ小魚のような弥生の立場!