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ふたつのいえをつなぐかいそう
二つの家を繋ぐ回想
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页
それを一々百合子が書かずに居られないようでは、決して為にはならない。だから、斯うします。お互にもっと諒解し合えるまで、貴方にも百合子にも、決して御目にかかりません。私には、実際辛い。死んでしまうかもしれないけれども――その方が結局、百合子の幸福になれば仕方がありません。貴方も御安心でいいでしょう」
私には、全く意外のことであった。
会えば不愉快なことがあり、私が何か書くといけないと云って、絶交すると云うことが、親子の間にあり得ることだろうか。
彼女の涙のうち、掻口説かれる言葉のうちに、自分は、明に其に堪えない執着、もうあんなことは問題にして居ない愛の熱を感じた。
私は母の為に、其那感情の本質的な無理をすることが恐ろしく思われた。
幾度も会い、話し合ってこそ、物は理解されるのではないだろうか。それを、辛い、苦しい、死ぬかもしれないと云う思いで私を拒け、而も半分Aへの面当てのように絶交して、それで何のサルベーションがあるだろう。
私は若い。斯程不自然な苦しいことも、何かの途で活かすことが出来る。然し、母は、後に、涙ばかりを遺し、結局、最大の問題である芸術に対する理解の欠乏に何の発展もなければ、万事は只、破壊ばかりになってしまうのではないだろうか。