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ひとでなしのこい
人でなしの恋
江戸川 乱歩
「サンデー毎日」大阪毎日新聞社、1926(大正15)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,245 字 · 33 页
ます。その様に綺麗な方のことですから、きっと外に美しい娘さんもおありでしょうし、もしそうでないとしましても、私の様なこのお多福が、どうまあ一生可愛がって貰えよう、などと色々取越苦労もしますれば、従ってお友達だとか、召使などの、その方の噂話にも聞き耳を立てるといった調子なのでございます。
そんな風にして、段々洩れ聞いた所を寄せ集めて見ますと、心配をしていた、一方のみだらな噂などはこれっぱかりもない代りには、もう一つの気むずかし屋の方は、どうして一通りでないことが分って来たのでございます。いわば変人とでも申すのでございましょう。お友達なども少く、多くは内の中に引込み勝ちで、それに一番いけないのは、女ぎらいという噂すらあったのでございます。それも、遊びのおつき合いをなさらぬための、そんな噂なら別条はないのですけれど、本当の女ぎらいらしく、私との縁談にしましてからが、元々親御さん達のお考えで、仲人に立った方は、私の方よりは、却て先方の御本人を説きふせるのに骨が折れたほどだと申すのでございます。尤もそんなハッキリした噂を聞いた訳ではなく、誰かが一寸口をすべらせたのから、私が、お嫁入りの前の娘の敏感で独合点をしていたのかも知れません。