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じんせいあんない
人生案内
「キング 第三〇巻第一一号」1954(昭和29)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,201 字 · 21 页
手打ちの支那ソバを造って売って歩く人物であるが、自宅で支那ソバを食べさせても小さな田舎町のことで日に十人前ぐらいしかでないので、三四里はなれた三ツほどの都市へ自転車で売って歩く。専門の支那料理屋よりもただの食堂とか喫茶店だ。こういうトクイ先で一服つけていろいろな新聞を読むうちに、人生案内の熱狂的な愛読者となった。
「ウーム。今日の女杉女史は本当に泣いとる。手を合せて拝んでるようだなア。ウアー。面白えもんだなア」
「あんなメソメソしたのキライよ。大山ハデ子女史に限るわよ。ズバリそのもの」
「ウン。そうそ。あれも時に面白い。活溌だなア。歯ぎれのいいとこに色気がある。どんな顔してる先生だろう」
「変な読み方してるわね」
喫茶店の女給に軽蔑されたが、そんなことは問題ではない。喫茶店の女給の如きやたらに厚化粧して年中何か店の品物を頬ばり、お客がいなくなるとお尻をふってモンローウォークの練習なぞに打ちこんでいる。どこにも色気なぞありやしない。しかるに人生案内の諸先生たるや威あり厳あり品あり血あり涙あり学あり礼儀ありそしてひそかに色気がある。くめどもつきぬ色気がある。