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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页
やがて、四辻の交叉点へ出た。
それを左の方へ曲がりかけた時、右手の方から一隊の人数が、粛々とこっちへ歩いて来た。
根元の辺りを菰で包んだ、松だの柏だの桜だの梅だの、柳だの桧だのの無数の植木を、十台の大八車へ舁き乗せて、それを曳いたりそれを押したり、また左右に付添ったりして、四十人ほどの植木師らしい男が、こっちへ歩いて来るのであった。深夜だから音を立てまいとしてか、車の輪は布で巻かれていた。植木師の風俗も変わっていた。岡山頭巾で顔をつつみ、半纏の代わりに黒の短羽織を着、股引の代わりに裁着を穿き、そうして腰に一本ずつ、短い刀を差していた。
車の上の植木はいずれも高価な、立派な品らしく見受けられたが、往来の左右の海鼠壁よりも高く、月夜の空の方へ葉や枝を延ばし、車の揺れるに従って、それをユサユサと揺する様子は、林が歩いてでも来るようであった。
その一隊が三人の前まで来た時、手を左右に振りながら、警戒するように『叱!』と云った。近寄るなとでも云っているようであった。
「叱!」「叱!」と口々に云った。
一隊は二人の前を通り過ぎようとした。
すると、この辺りの屋敷へ呼ばれ、療治を済ませて帰るらしい、一人の按摩が向う側の辻から、杖を突きながら現われたが、その一隊の中へうっかりと入った。