轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いまどしんじゅう

今戸心中

広津 柳浪

「文芸倶楽部」1896(明治29)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,688 字 · 74 页

青空文庫

「小万さん、お前も酔ッておやりよ。私ゃ管でも巻かないじゃアやるせがないよ。ねえ兄さん」と、吉里は平田をじろりと見て、西宮の手をしかと握り、「ねえ、このくらいなことは勘忍して下さるでしょう」

「さア事だ。一人でさえ持て余しそうだのに、二人まで大敵を引き受けてたまるもんか。平田、君が一方を防ぐんだ。吉里さんの方は僕が引き受けた。吉里さん、さア思うさま管を巻いておくれ」

「ほほほ。あんなことを言ッて、また私をいじめようともッて。小万さん、お前加勢しておくれよ」

「いやなことだ。私ゃ平田さんと仲よくして、おとなしく飲むんだよ。ねえ平田さん」

「ふん。不実同士揃ッてやがるよ。平田さん、私がそんなに怖いの。執ッ着きゃしませんからね、安心しておいでなさいよ。小万さん、注いでおくれ」と、吉里は猪口を出したが、「小杯ッて面倒くさいね」と傍にあッた湯呑みと取り替え、「満々注いでおくれよ」

「そろそろお株をお始めだね。大きい物じゃア毒だよ」

「毒になッたッてかまやアしない。お酒が毒になッて死んじまッたら、いッそ苦労がなくッて……」と、吉里はうつむき、握ッていた西宮の手へはらはらと涙を零した。