轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いまどしんじゅう
今戸心中
広津 柳浪
「文芸倶楽部」1896(明治29)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,688 字 · 74 页
お淋しいだろうと思ッて私が参りますとね、あちらへ行ッてろとおッしゃッて、何だか考えていらッしゃるようですよ」
「うまく言ッてるぜ。淋しかろうと思ッてじゃアなかろう、平田を口説いて鉢を喰ッたんだろう。ははははは。いい気味だ。おれの言う言を、聞かなかッた罰だぜ」
「あら、あんなことを。覚えていらッしゃいよ」
「本統だから、顔を真赤にしたな。ははははは」
「あら、いつ顔なんか真赤にしました。そんなことをお言いなさると、こうですよ」
「いや、御免だ。擽ぐるのは御免だ。降参、降参」
「もう言いませんか」
「もう言わない、言わない。仲直りにお茶を一杯。湯が沸いてるなら、濃くして頼むよ」
「いやなことだ」と、お梅は次の間で茶を入れ、湯呑みを盆に載せて持って来て、「憎らしいけれども、はい」
「いや、ありがたいな。これで平田を口説いたのと差引きにしてやろう」
「まだあんなことを」
「おッと危ない。溢れる、溢れる」
「こんな時でなくッちゃア、敵が取れないわ。ねえ、花魁」
吉里は淋しそうに笑ッて、何とも言わないでいる。
「今擽られてたまるものか。降参、降参、本統に降参だ」
「きっとですか」
「きっとだ、きっとだ」