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こんにちのにほんのぶんかもんだい
今日の日本の文化問題
宮本 百合子
「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页
岩波書店出版の雑誌『世界』三・四月号に文学博士津田左右吉の天皇制護持の立場からする皇室論があらわれた。当時の教育局長田中耕太郎は教育勅語を自然法的なものとして、この勅語が国民教育の基準となり得ることを主張した。戦時中は中立的立場に立っていた学者、または津田左右吉のように日本歴史の解釈において治安維持法に触れそうになり著書の発売を禁止されていたような学者が、天皇制護持のための活動を行ったことは、天皇制に対する意見の動揺している一般市民、学生、知識人にとって、その判断のはかりを天皇制承認に傾かせるおもりとなった。
政府はこのようにして準備した社会的雰囲気の中でとり急ぎ第一次憲法草案を発表した。この憲法草案の特徴は依然として天皇の特権を主張しているところにあった。
畸型的な民主化憲法が草案として討論されている間に、天皇は自身と旧勢力のための選挙運動をはじめた。東京都下その他各地方への巡幸がはじまった。これまでの神としての天皇から人間天皇への困難な転換をおかしながら。
この期間もっとも進歩的な民主的見解を代表する日本共産党は、天皇制の廃止を主張した。しかし天皇およびその一族の処置の問題は今後の全日本人民の意嚮によるものとした。