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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

ポツダム宣言受諾後最初に行われた四月初旬の総選挙に当って保守的政党のすべてが団体の大小を問わず、その政策として主食の配給改善とインフレーション防止と天皇制護持とを掲げた。日本社会党も即時社会主義実現と並行して天皇制護持を綱領とした。はじめて政治の舞台に登場しようとする婦人代議士立候補者たちも婦人の問題は婦人の手でというスローガンとともに天皇制を護持した。日本中に数百万の未亡人を出し、孤児を出し、家庭を崩壊させたのが天皇の宣戦詔勅であったのに。

このようにしてきわめて短期間に、日本の民主化の純粋性は失われはじめた。本質的に保守と反動の政策が民主化の道へ大幅に流れ出したのはどういう原因からであったろうか。このことはもちろん国内の根強い封建的伝統を決定的な理由としている。同時に金の匙から食べていた者は何時になっても彼等の金の匙を捨てようとは欲しない。これは世界共通の現象である。その上、七十年以上封建的な絶対主義と軍国主義に馴致され、最近数年は半狂乱の戦争熱であおられていた日本の人民にポツダム宣言を受け入れさせ、軍隊を解散し、敗戦を認めさせるためにはその半封建制そのものに利用価値があると考えられたのであろう。