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ならわざるをつたうるか

伝不習乎

北大路 魯山人

「星岡」1935(昭和10)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,662 字 · 10 页

青空文庫

これらは料理を盛る食器にしてもまたそのとおり。要するに料理屋の主人なる者が、美術的に鑑賞する力がないからである。中には騙されて高い金を出し、偽物の画など掴まされて得々としているのもある。

このことは彼等の風采において符節を合わしている。イキとかイナセとかいう低級俗悪な趣味があって、男のくせに着物に何百円と金をかけてみたり、下駄に二十円、三十円と金をかけてみたりして得意になっている。そしてあぐらでもかいた時に、金のかかった着物の裏とか、長襦袢の袖とかいうものを見せるのを無上の喜びとしている。することなすことが愚にもつかぬことばかり、すべてこのとおり。そしてバクチを打ち競馬をやる。こういう状態だから、彼等の料理がまた従って、料理の本調子というものをまったく忘れたいわばイキな料理、イナセな料理、偽物料理に走っているのも当然である。

先頃三越に料理展覧会なるものがあった。どんなものかと思って参考のために見物に行ってみたが、ひと口にいってしまえば、醜悪そのものの陳列であった。もちろんみな苦心していることは認められる。しかし、その苦心の跡をみると、要するに彼等がいかに無知であるかということが語られるばかりという他はない。