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ならわざるをつたうるか
伝不習乎
北大路 魯山人
「星岡」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,662 字 · 10 页
物の道理に従って素直に誠実に料理をやっているものが一人としてないのである。なるほど、技術技巧に凝ったものがあるが、要するにそれらは児戯に等しいと評するの他はない。児戯に等しいものはまだよい方であって、中には悪ふざけに走ったものが非常に多い。それで得意になっているところを見ると、みながみな悪悟りをしてしまっているのである。ところが、この料理展覧会が確か五階にあって、六階にはその時ちょうど、木彫や水彩画の展覧会が開かれていた。この方はさすがに美術の専門家だけに下の料理展覧会に比べるとはるかに美術的であった。しかし、その内容をよくよく点検すると、そのつまらなさ加減、まったく階下の料理と同じであったといわざるを得ない。観音様を彫ればそこらの芸妓面をしていたり、恵比寿大黒が落語の百面相であったり、所詮われわれの脳裡にあるものを表現してはいないのである。技術はなるほど進歩している。しかし、内容の低級なることまったく料理展覧会と軌を一にしているのである。こう見て来ると、要するにある者は縁あって料理をやり、ある者は縁あって彫刻をやり、またある者は縁あって水彩画をやったというに過ぎなくて、これらのひとはすべて人間価値において同じであると思われる。