轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

私の席はそんなに後ろではなかったが、私は姉の眼鏡を使って、時々役者の顔を見た。そして時々そっとそれを鶴子の方へ向けるのを抑えることが出来なかった。

彼女の笑ってる顔が大きく映ったりした。

が紅葉の間の立ちまわりはしかしさすがに私を緊張させた。私はすべてを忘れて引き入れられていた。黒田騒動が終ると観客は廊下に流れ出た。私たちは鶴子たちと出合って挨拶した。

「成駒家はいつ見てもきびきびしてますことね」

私の伯母が言った。

「福助(後の梅玉)はいいワキ役ですね。あの忠臣の人柄なことと言ったら」

これは鶴子の母親の意見であった。

「芝雀もいいけれど成太郎(後の魁車)がいいわ。とても艶っぽくて、油があって」

種子姉はそういう説であった。

「僕は玉七が素晴らしいと思うな。今日の主水は第一の出来だと思う」

生意気なことを言う子だと、ほほ笑みながらも、姉たちはそれを肯定した。

鶴子は何の批評もしなかった。恐らく彼女は芝居の芸題などよくは知らなかったのであろう。

私たちは同じテーブルを囲んで腰かけた。姉はアイスクリームを注文した。これが私がアイスクリームというものを食べた初めであった。