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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
と伯母が言った。その頃の尾道ではまだ桟敷番が常連の家へは売ってまわった。
「うち、うれしいわ」
とすみ子はいかにも嬉しそうに胸を抱いた。
「またすみちゃんが一生懸命おめかしして行くんじゃんしょう」
伯母がからかった。
「知りゃんせん」
とすみ子はすねて見せた。
「黒い、たくさんの髪じゃがのう」
姉は感心したように言った。
「まめだからね。あんた臥ることなんかないだろう」
「お薬飲んだことないけえ、でもコロダイン飲んだわ。おいしいもん、お腹が痛うないのに痛いいうて、父さんばかして飲んだわ」
皆笑った。
が私は鶴子と比べて考えていた。どうしてこんなに違うのだろうと思った。鶴子の頬は貝色してるのにすみ子のは、桃のような色をしているのだ。
「また来やんす」
と彼女は立ち上った。
「おかかんにね、今度のおさらいはお師匠さんが他行ゆえ延ばしますって」
「はい。そう言やんしょう」
それから二、三日して、私たちはすみ子も一緒に岩井座に天勝の奇術を見に行った。
すみ子は真赤な帯を胸高に〆めて、何かキラキラする簪をさしていた。私と並んで坐って、前に見て知っているので、番組をひろげては得意そうに色々と説明した。