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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

がこの少女は私を好きだと言うことをあからさまに女友達に語った。

「うちは※の姉さんの弟さんが好きじゃけ」と言った風に。それで私はよくからかわれた。

「そら、めりんす屋のすみちゃんが歩いてるよ」

と従兄は私が店に出ていると肱でつついた。「きっとはいって来るよ」

厚化粧の彼女がショウ・ウインドの前に立ち止ると、

「まあ、おはいり」

と大阪風に店の者が声をかける。すると彼女は景気よくはいって来て、腰かける。ぷんと白粉の香がする位だ。

傍の者に照れくさいので、私が本を読んでると、

「よう勉強してじゃがのう、うちらすぐ頭が痛うなるけえどな」

「勉強じゃありませんよ、別に」

と私は本を閉じて、火鉢のかげにかくす。

「兄さん、天勝の奇術見に行ってじゃった?」

「まだ行きません。忙しかったのでね」

従兄がこう言うと、

「行って御ろうじ。とてもおもしろかれやん。水芸なんかほんまに不思議じゃけえ」

そこへ伯母が出て来て、

「おかかんと行ったの?」

「ええ」

「行って御覧よ」

と伯母は姉と私をかえり見た。

「行こうかな、百三さん」

「ええ、行きましょう」

「うち、もう一ぺん行くわ」

「へたら一緒に桟敷とろがよかれやん」