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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

「飲め飲め。構わん、百さん、今日はやれ」

私はうまくもないのにガブガブ飲んだ。

「止めたがええ。そんなにガブ飲みしたら、からだに悪かれやんが」

すみ子がとめた。

「いよう貞女だな」

と従兄はからかった。「すみちゃん弟の看護はあんたにたのみまっせ」

皆どッと笑った。

すみ子は真赤になったが、まけてはいなかった。

「おおきに、たのまれんでもしやんが、兄さんこそそんなに金時見たいに酔って、姉さんにきらわれんようにな」

「おやおや」

「やられたな、定さん」

皆笑った。

従兄はおもしろがって、「すみちゃん、あんた弟にちょいとほの字やな」

と言ったがすぐ芝居のセリフになって「とりもってたもとおっしゃるなら、勝頼さまではなけれども、あんたの店のめりんすみんな、それが盗んでもらいたい……」

皆どッと吹き出した。

「兄さんには往生しやんした」

とすみ子は逃げて行った。

尾道の宴会と言えば大阪の商人趣味で、あまり上品なものではなかった。芸者がまた「かっぽれ」をやり出さないうちにと私は酔って苦しくもあるし、座をぬけ出て、裏の海ばたで風に吹かれていた。と急に胸が悪くなって、げえッと戻して来た。