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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
私を見覚えているらしく、私たちは同時に会釈した。
コートと言っても地面にチョークで線を引いて、ネットだけしっかり張ってあるのだ。決ったメンバーも無いらしく、二人しか交代する人がいなかったので、
「はいりませんか」
と安子が言ったのをしおに私もプレイに加わった。
パートナーは無く、一人が三つしくじれば敗退するのだ。次ぎの番なのでカウントしたが、知らない人ばかりなので、遠慮してミスを見逃がすと、安子が、
「モア、シリヤスリイ」
と言った。私はテニスは自信はなかったが奮闘した。今日は面白かったし、当りもよかった。安子が私のミスを厳しくカウントするので、
プレイしながら「ベリイ、シイリヤス」と叫んだら、彼女は笑いながら、
「エキスキュース、ミイ」
と言った。その後組んでやる時安子と組んだので私たちは色々と話をするチャンスがあった。
私は安子に好奇心を感じた。彼女は色が浅黒く、目が烈しく輝いて、すべての動作がスマートだった。美しいとは言えないが、気持のいい、卒直な性格だった。すべてに渡って、いかにも、植民地で育ったらしい粗野なところがあったが、気持ちに卑しいところはなかった。