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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

よく英語を交えて話したが、その英語は上等なものとは言えなかった。けれども私には清新な溌剌としたものとして、彼女は印象したのであった。

Where are you going?

と通りで見かけた時など私が呼びかけると、

I'm going to market.

などと答えて、忙しそうに歩いて行ったりしていた。

私はテニスが好きになって、よく浄土寺の境内に行き出した。彼女が来ていぬかと物色する気があったのは確かだ。がスポーツとか、エキササイスとか言うものへの私の興味が動きつつあったのだ。そして安子との交わりで私は甘い、こってりとした情緒でなく、キビキビした多少ラッフなものへの感覚を呼び醒まされた。それが次期の私の中学時代の雄健主義へのキッカケになったのである。

私は安子と話すと弾力のある毬か何かに触れるような快さを感じた。ふわりとした、包むような愛ではないが、真実な卒直な友情を感じた私は彼女をミス・ヤスと呼んでいた。

「ミス・ヤス、テニスに行かない?」

「行きたいけど今日忙しいの」

「つまらないな」

「あたし家の手伝いしてるもの。あなたはいつものんきね」

「のんきでも勉強はしてるよ」