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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
この出来事は私を強く刺戟した。
一つには教育というものの精神の如何に大事であるかということ。すなわち自由と創造と闘いとの気魄のない官学風の教育の無力であること。
二つには広い世間を見て他流試合をしなくてはいけないこと。つまり井中の蛙となって、自己陶酔してはいけないということ。
この経験は私の志をこの山間の中学から、遠く天下に向かって解放してしまった。
私の心はもうこの小さな学校にはつながれていなかった。大きな精神と、自由の気魄とのある東京の学校に行きたい。なるべく一高へはいりたい。あの寮歌集の雰囲気こそ私の要求にぴったりとはまるものではないか。高貴の精神、自治の伝統、物的栄華からの超越、浪曼主義、日本的気魄、いずれも私の心から憧憬するものだ。
とにかく一高へはいろう。
私はそう決心した。
私は猛烈に入学試験の準備を初めた。
しかし私の心配は父が果して上の学校に行くことを許してくれるかどうかということであった。私の父は学問にはまるで気がなかった。中学を出たら私に家業の呉服商を継がせる気であった。私が学芸を好むことを寧ろ心配していた。
私は一方では入学準備をしつつも、不安でならないので、休みの日に庄原へ帰って父にたのんだ。