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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

私たちが旅から帰ると入舟と言って、お酒をつけて晩餐をし、祖母や、母や、姉や、親戚の伯母や、従姉たちも集まって、私たちの旅の話を聴くのであった。

文化の進歩、生産の増大、生活量の豊富のみによって人間は決して幸福をつくり出すことは出来ない。愛し合うこと、心の貧しいこと、この二つがあれば、幸福の材料を幾らでも周囲から見つけ出して来ることが出来る。子供のとき私たちはアイスクリームというものを知らなかった。しかし街中で一番冷たい水の湧く、寺の井戸から清水を掬んで来て、店にある白砂糖を入れ、トーヒーとシュセキサンを混じて蜜柑水というものをつくって飲んだ。それで十分に幸福だった。

その年の夏休暇だ。豊子姉は西城町にいた雪子姉のところへ弟妹を皆つれて泊りに行きたいと父にせがんだ。父は店先きでアッシのようなものを着て、帳面の整理をしていたが、

「遊びに行くのはいいが、又お前がお政や、お藤や、艶子に派手ななりをさせて、西城の町を歩かれては目立って困るからな」

「でも皆で来てくれと、雪ちゃんが言ってよこしてるんですもの」

「いや、あまり仰山になるから、百三ひとり連れて行け。