轻松读懂日语经典作品
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いりえのほとり
入江のほとり
正宗 白鳥
「太陽」1915(大正4)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,430 字 · 50 页
ようあんな下卑たことを大きな声で喋舌ってげらげら笑っておられると愛想が尽きてしまう。こんな人間ばかりのいる村で一生を暮らすとすりゃ聾になりたいと勝は思うがな」
無口な母親は、娘の言葉に軽く雷同するだけだったが、才次が傍で聞いていようものなら、黙って妹に話を続けさせておかなかった。兄弟じゅうではやや常識に富んだ穏かな彼れは、けっして烈しい口は利かないが、小間癪れた妹の言語態度が女学生めいているのが気に触って、からかうか冷やかすかしなければ虫が収まらなかった。
ある夜も勝代が、上京心得といったようなことを書いてある東京の友だちの手紙を母に読んで聞かせて、母子が炬燵に差向いで話しこんでいるところへ、筒袖を着た才次が、両手を細い兵児帯に突込んだまま、のそのそ傍へやってきた。
「お前の友だちは皆なペンで手紙を書くんかい」と、四角な桃色の封筒を手に取った。
「昔風の候ずくめの手紙なら巻紙に筆で書くのがよう似合うとるけど、言文一致にゃ西洋紙にペンを使うた方がええ。第一一枚の紙にもぎょうさんに字が書けて、お父さんの口癖の経済的にもなるんじゃもの」勝代は皮肉をまぜて答えた。