轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いりえのほとり
入江のほとり
正宗 白鳥
「太陽」1915(大正4)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,430 字 · 50 页
「しかたがないって、お前なんかつまりは兄弟の世話にならにゃ生きてられない時が来るんだよ。両親の達者な間に方法を立ててもらっとかなきゃだめじゃないか、むだなことばかり気ままに勉強していても、食う道はちっともついていないのだから」
兄の声が尖ってくると、辰男は目を伏せて心を外へそらせた。
「勝は学校を出てお金を取れるようになったら、辰さんにあげるつもりじゃ、勝は利己主義は嫌いじゃから」勝代は気取った口を利いた。
これで話を止めて、栄一は横になって、挽舂の響きを聞きながらうつらうつら仮睡の夢に落ちた。勝代は温かすぎる炬燵で逆上せて頭痛がしていたが、それでも座を立とうとはしないで、
「口が粘って気持が悪いから蜜柑を食べたいがな。辰さんは奢ってくれんかな」とねだった。
「お前が自分で買いに行きゃ奢ってやらあ」
「勝は物を買いになぞ行ったことはないのに。およしでも使にやりゃええがな」
「自分で行かんのならわしは銭を出さんぜ」辰男は頑なに言った。
「辰さんは時々意地の悪いことを言うんじゃな」
勝代は階下へ行って母にねだってもらってきた蜜柑の一つを兄の前に置いたが、辰男は手に取らなかった。