轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
へいほうしゃ
兵法者
山本 周五郎
「新武道」1944(昭和19)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,184 字 · 16 页
くちぶりがあまりぶ遠慮だったので三木幾之丞はむっとした、「甲陽軍鑑が武田の旧臣によって書かれたものであり、したがって武田氏に依怙の部分があるということは聞いている、これは旧主従のよしみとしてありがちのことで、われらが御しゅくんの年記を編むとするも必ず避けられることではないであろう、しかし虚妄にして信ずべからずという説はいまはじめて耳にする、そう云うからにはなにか根拠があってのことと思うが、どういうわけで信ずべからずと断言するのか」「すでに軍鑑が武田の旧臣の撰に成り、依怙の条が多いとわかっているなら、虚妄と申した根拠のせんさくには及ばぬであろう」と兵法者なにがしは冷やかに答えた、「……ただそれがしはさような信じがたき書をとりあげて、いかにあげつらってみても、げんざい御奉公の性根のかためには役だつまいと申すのだ」あきらかに言葉はかれの好むほうへと曲げられた。幾之丞は若いので早くも額を白くしたが、なにがしはそれを無視してつづけた、「新参者のそれがしにはよくわからないが、ご家中にはお上のがくもん御奨励をはき違えて書を読む風はさかんだが、武芸に出精するものは案外すくないようだ、これでは武士として万一のとき心もとなく思われるがどうであろうか」