轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かご
加護
宮本 百合子
「大阪毎日新聞(夕刊)」1920(大正9)年8月17日~28日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,147 字 · 33 页
けれどもお幾の方はまるでそれとは反対で、何時でも自分の仲よしを、或る程度まで思いのままに操縦する活気を持って生れていた。いいにも悪いにも、自分を立てて来られたのが、このこと許りは思うように行かないので勝気なお幾はきっと残念なのだろうと、傍の者は思っていたのである。
お幾にしても、そういう気分がないことはなかった。生れた時から不幸を背負わされて出て来たようなお恵さんを、彼女が物質的にも精神的にも補助して来た友情は、決して並大抵のものではない。それと同時に、自分の深い友情に対して、長い時が経ると共に湧いて来た一種の矜持ともいうべきものが、皆の言葉で何となく権威を失うような心持もされるのである。然し、「お恵さんを云々」という一句で彼女がそれほど悄然とする理由は、決してこれ許りではなかった。それに就ては、さすがのお幾も冷汗を掻かずにはいられないような思い出が、誰にも語られずに、でっぷり重そうな胸の中に蔵されていたのである。
もうそれは足掛三年ほど前のことである。
八月も末近い或る夕、蚊遣を燃(た)きながら、竹縁で風を入れていたお幾は、思い掛けず、お恵さんの良人が死去したという報知に驚かされた。